結局僕はいつだってそうなのかもしれない。
少し肌寒くなってきた10月。
空気が冷たい。
嫌なことがあるといつも僕は河原で寝ころんでいた。
3流小説にあるような、突然の出来事を信じるようにして。
ランニングをする人、犬と散歩をする人。
いろんな鳥が飛んで、川はゆっくりと流れている。
目の前で起こっている景色は、僕が期待しているものとは裏腹に、やはりいつもと同じようなものだった。
当然何も起こるはずはない。
しかしそれでも期待してしまうのは、ここ最近あまりにもついていないからなのか。
それは自分でもわからない。
他にこれといった理由も思い浮かばないからきっとそういうことなのだろう。
そういうことにしておかないと、頭のモヤモヤが晴れなくてまた嫌な気持ちになる。
太陽がまぶしくて僕は目を閉じた。
再び目を開けたころには、既に夕方だった。
ここに来るといつも眠ってしまい、いつも違う夢を見る。
同じ夢を見て運命を感じる、なんていうのはやはり3流小説の中だけの話で、普通の人間、僕のような何の変哲もない奴には起きることはないのだろう。
何か同じ夢を見たとしても、-例えば世界の運命が関わるような-学生である僕にはどうすることも出来ないのだ。
勉強をしなければいけない。
将来のことも考えなければいけない。
もちろん人並みに恋もするし、友達と一緒に笑ったりもする。
ケンカをすることだってあるし、フラれることだってある。
そんな僕がある日突然世界を救えなんて言われたって、どうすることも出来ない。
もし世界を救う旅に出たらどうなる。
僕に特別な能力があるとは思えないし、そんな能力を持った仲間を作ることさえ出来るとは思えない。
出来ることといえば、将来守るべき大切な人を見つけて、守ることくらいなのだろう。
それすらも出来るかわからないというのに。
やはり僕はその辺にいる普通の人間なんだ。
本格的に冷えてきたので、そろそろ帰ることにした。
こういう気持ちの日はずっと冷たい風に当たっていよう、とは思うのだが寒いのは嫌いなのでいつも夕方過ぎには帰ることにしている。
歩いていてすれ違うのは相変わらずランニングしてる人や犬と散歩している人。
何も変わるはずもない、僕のいつもの日常。
―ジャーン、ジャジャーン―
変わるはずがない日常。
今日はその中に聞きなれない音が紛れ込んでいた。
―ジャジャジャジャジャーン―
少し間の抜けた、乾いた音。
聞いたことがある音だ。
これは確か、アコースティックギター……?
僕は音のするほうへ吸い込まれていった。
「サンキュー!誰も聞いてないけどな!」
ギターをかき鳴らし、決して若いとも言えない男の人が叫んでいた。
声が太い。
「それじゃもう1曲いくぜ!次はカバーだ!」
僕は誰も聞いていないその人の歌を聞くことにした。
ちょこんと、小さく体育座りをして。
―夢を見ることさえ、忘れた人たちに口ずさむメッセージ、つながる愛の歌―
聞いたことがない歌詞だ。
カバーということは誰か別の人の曲だということは僕でもわかる。
しかしあまり音楽を聞かない僕はこの歌が誰の歌かは知らない。
それでもとっても優しい音で、聞き入るのに時間はかからなかった。
僕だけの、本当に僕だけに贈られている歌だ。
その人は歌い終わるとゆっくりと口を開いた。
「ありがとうな少年。」
「いえ……とってもいい曲ですねその歌。」
僕は音楽がわからないからそんなに大したことが言えるわけじゃない。
とってもいい曲、それが僕の出来る最大の感想だった。
「いい曲、そうだな、とってもいい曲だ。」
その人は少し笑った。
「だけどな、これは所詮人の歌なんだ。そんな歌を唄ったって、ちゃんとしたメッセージなんて伝わるはずがない。やっぱ自分の曲じゃないとな。」
その言葉を最後に、沈黙が続いた。
陽はもう沈みかけている。
いよいよ本格的に寒くなってきた。
気になって周りを見てみれば、うす暗くなりはじめていて、遠くのほうはもう見えない。
そして驚いたことに今までいたランニングをしている人や、犬と散歩をしている人たちはもういなくなっている。
当然といえば当然だった。
寒くなってきて、暗くなってきたら帰るのが普通なのだ。
僕はいつもそんな人たちより先に帰っていたから、こんな景色を見るのが初めてだった。
「なぁ少年。」
不意に話しかけられた。
「あ、はい。」
「夢って、あるか。」
「夢、ですか。」
こんなこと、聞かれるとも思っていなかった。
きょとん、としている僕を見て、その人は続ける。
「若いうちは夢ってのは本当に大切なんだぜ。」
ふぅ、とため息が続く。
「俺みたいな年にもなって夢見てるのはあんま誇らしいことじゃないけどな。ちゃんと家庭を持って、仕事をして、いい暮らしをしなければならない。」
「僕はそういう将来を夢見ています。」
「それは夢って言わないんだよ。当たり前のことなんだ。」
予想だにしない返答だった。
僕が思い描いていた何の変哲もない夢。
それは夢ではなく、当たり前のこと。
そんなこと考えもしなかった。
「恥ずかしい話だがな。俺は本気でこの世界を変えてやろうと思っているんだ。」
「世界を……ですか。」
疲れたから終わり。
続く・・・かな?
書きたいことがうまく書けないってもどかしいわね。
俺もまだまだってことでした。
あ、ちなみに明日受験なのでアップのつもりでこんな駄文書いてみたのです。
少し書いておかないと当日いきなり書いても腐るだけだからね。
それじゃばいばい。
コメ返!!
>>ゆい
大人っぽい少年な格好が似合うと自負しております。
よくわからないようなら今度プリでもうpってみようか(
ジェネ魔ですね。
まぁ俺は人形してるから好き勝手ぶっ放してくださいな。
神殿いきてーなー。
画面が赤いのは普通に故障なのでつっつと買い換えてください(
ディスプレイだけならそんな高くもないでしょう!
木曜日から学校公認のお休みをもらっているのでお昼に更新したのですよっと。
>>紫電
人間としてカスなコメ乙。
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